知人のおすすめで気になっていたこちらの本、Kindle unlimitedに入っていて即ポチしました。
第二次大戦中、熾烈を極めた独ソ戦線。
100万人を超える女性が看護婦、軍医、そして銃を放ち爆撃をするパイロットなど、武器を手にして実際に戦闘する兵士として従軍していたそうです。
彼女たちへのインタビューをまとめた本です。
著者はノーベル文学賞を受賞したベラルーシ出身の女性ジャーナリスト、1948年生まれ。
印象に残ったこと
◉従軍女性兵士の多くが、除隊後、従軍の事実や戦場での活躍で与えられた勲章を隠し、結婚せずに独身のままひっそりと暮らしていた。
◉戦後、除隊してきた従軍経験のある女性に対し、偏見や冷遇があった。
「死や血の臭いがする」「人殺し」「戦場での兵士の行い(略奪、レイプなど)を知っている」「将校たちの現地妻だったのだろう」などが理由。
◉前線で倒れていたドイツ兵士を野戦病院に収容。敵も味方もなく片端から手当てしていった。「ファシストが残酷なことをしようと、敵でも味方でも怪我人を手当てするのが使命」
◉志願看護婦だったティーンエイジャーの女性。
先輩女性が「患者さんが尿瓶を頼んできたら、あなたはやらないでいいから、わたしに言って」と担当してくれていたが、ある日その先輩が非番の時に負傷兵から尿瓶を頼まれた。
持っていくと、その患者は両手がなかった…。そこで始めて、先輩が請け負ってくれていた理由がわかった。
◉モスクワへ退却する途中。連隊長が「モスクワは近い。美容師を連れてくるから、髪を巻いたり、眉を描いたり、マスカラをつけたりしなさい。本当はそういうことはいけないんだが、みんなに綺麗にしていてほしいから」と、美容師を連れてきてくれた。
◉ーーーわたしの(当時の)望みはただ一つ、「誕生日まで生き延びで18歳になりたい」ということ。
◉進軍してベルリンまで行き着いた。議事堂の壁に「わたしは『戦争を殺しにここまで来た』と書いてサインしました。
◉野戦病院での手術。
一刻を争う中、重傷者の切断手術を麻酔もなく処置していく…
この世のどこかに手足が全部揃っている人がいるのを想像できないくらいだった。
手術室の裏に大きな桶があって、切断した手足が山のように放り込んであった。
見回りにきた大尉がその桶を見て気絶してしまった。
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わたしは満州引き揚げやシベリア抑留に興味があり、何冊も本を読んできました。
ソ連の残忍非道、冷酷非情ぶりには憤りを抑えられません。
けれど。。。従軍女性たちの証言でヨーロッパ戦線の様子、ドイツ軍のソ連での残虐行為を知り、また、粗野で冷酷非情というイメージだったソ連軍の中にも、女性に心配りを見せる兵士や指揮官がいたことに驚きました。
こんな戦争があったのに… 今、何のためにこんなことが起こっているのでしょう。