海外に住み始めた頃、滞在年数が長い大先輩の方々が日本人同士でやたら仲良さそうだったり、病院や美容室も日系にこだわったり、薬や美容品も日本製品にこだわるのを不思議に思っていました。
.....十数年以上住んでいるのに、なんでそんなに日本に固執するんだろ?
私は決して日本に嫌気がさしたり海外生活に憧れてこの生活が始まったわけではありません。
ですが、年月を経れば住めば都、現地人の友人や地元の生活用品で便利に暮らしていくんじゃないか、くらいに思っていました。
日本に住んでいたドイツ人と結婚、最初の2年ほどは日本だったので「国際結婚ー海外移住ー日本を棄てる!」なーんて気負った意識はさほどなかったのです。
その後相手の都合でイギリス、ドイツ、と転勤してきました。
いずれも私は初めて住む国。
思っていたのは「できるだけ先入観や決めつけをせず、自分も無理せずフラットに暮らしていこう」ということ。
学生時代にアメリカに1年留学を経験、その後アジアの交流プログラムに数か月参加、バックパッカーで東南アジアを回ったりもしていたので、海外で思わぬことに遭遇したり常識の違いに直面することにはある程度覚悟はできていたつもりです。
ですが、期間限定で楽しく自分の興味のおもむくまま行動していればよかった若かりし頃とは違います。
家族で暮らしていくのですから、ガツガツ友達作りに励んだり、無理に現地になじもうとしていてはしんどくなりそう。
イギリスでは英語という最初のハードルはそこそこクリアしていたので、すぐに仕事も見つかったし、その後妊娠、出産を経てママさんグループとの付き合いもまあやっていけました。
ドイツでは幼児レベルからのスタート。幼児のプレイグループの検索も病院予約も自分ではままならない、人として、大人としての自尊心が蝕まれる日々。
それでも焦らず淡々とやっていけば、現地の友達作りも語学習得も日々のサバイバルもできるようになってるんじゃないかな、と思っていました。
日本に行く度、山のように買いだめしている食べ物や化粧品、医薬品も、そのうち現地でお気に入りをみつけてシフトしていくだろうな、と。。
。。。。10数年経ちますが。。。。
。。。。大先輩方と同じく、私の中で日本や日本製品への執着は当初より増している、と言えます。
日常生活を回す、という意味では何とかやっているから歳月を経てきたわけで、自分比では相当自立しましたよ。
来た当初は歯医者や病院の予約もいちいち夫にしてもらい、付き添ってもらってたんですから。
でもね、今、若かりし頃に違和感をもちつつ見ていた大先輩方を理解できます。
言葉がある程度できてサバイバルできたって、日本で生まれ育った思考回路や価値観は変わらない。
アウェイ会場で、アウェイルールでずっと試合していれば、そりゃあ疲れますよ。
だからこそ、自分で選択できる範囲は慣れ親しんだもので心の平安を保っているのです。逃げ出さずに暮らし続けられるように。
10年以上経っても日本に帰国時は医薬品や美容品、はては炊飯器やヘアドライヤーまで買い込んでいましたし、帰国できない今は日本のアマゾンから本を購入したり、美容品も買っています。
以前なら「そんな高いお金出してわざわざ日本から買わなくても。。。」と躊躇っていたのですが。
張り切って海外移住を始めた人が私を見たら「もう長いのに、そんなものなの?」と半ばあきれることでしょう。
ですが・・・ええ、そんなもんです(笑)
他人の目に残念に映ろうとも、さらに自分でも少し残念に思いつつも、日々の暮らしを守っていくことが大事。そして守ると同時にちょっと楽しい、ちょっと幸せになることを大事に歩んでいます。