ロンドンに住み始めた頃、駅前のバス停で事件が起こりました。
やってきたバスに乗ろうとすると、列に並んでいた私の前の人まで乗車したところで、運転手さんがニコリともせず私を制し「No, あなたはこのバスに乗ってはいけません」と言いました。
えっ。。。?驚いて何も言えず固まった私。
バスは走り去り、小雨の中バス停に取り残されたのは。。。私と黒人の女性。ええ、有色人種二人です。
「現代に、こんなあからさまな差別がまだあるの!?50年代のアメリカじゃあるまいし!!!なんだこの国はー!」
でもね、私が経験不足、無知だったんですよ。
ロンドンのバスは安全のために定員以上には人を乗せない、2階建てバスの2階部分は着席のみで立ち席禁止。
日本のバスも定員はあるでしょうが、ロンドンでの「これ以上は乗れません」という状態が、ラッシュアワーに揉まれてきた日本人にとっては「どこがいっぱいなの?まだまだ乗れるじゃん!」というスッカスカな感じ。
立っている人たちは密着してはいないし、2階席は誰も立ってないからなんだか余裕に見える。
そこににこりともせず「you can't get on this bus! 」と言われて。。「差別された!?キー!!!」と思ってしまったわけです。
「申し訳ございませんが定員ですので次のバスをお待ちください」なーんて丁寧に言ってくればわかりましたが、そんなこと外国で期待するのもまた経験不足(笑)
ドイツでもあります。
在独日本人はおそらく全員が驚きとともに経験することが「列の割り込み」です。
少し大きいスーパーでは3ー4つレジがあります。
例えば、1つしかレジが開いていない状態で混雑してきて2つ目のレジが開く。。。というとき、日本では普通なら、もともと開いていたレジに並んでいた次の順番の人が2つめの1番最初に行くか、レジを開ける店員さんが「お客様、こちらへ」とお客さんの買い物かごを受け取って移動します。
ところがドイツは「本来、誰が次の順番か」と気にして遠慮する文化ではありません。
そんなのお構いなしで開いたレジへ猛ダッシュ。
猪突猛進、弱肉強食、肉食狩猟民族のDNA全開です。
目ざとければ、長い列のはるか後ろ5-6人目の人とか、並んでいなかったのにたまたまその近くにいた人がグイっと買い物カートを入り込ませ、さっさとお会計を済ませるのです。
以前も衝撃の事件の数々を記事にしていました。
最初にこれをやられたときも呆気に取られ、憤りました。
私が「お、ラッキー、次は私♪」と移動しようと足を踏み出したら、数人後ろの人がすごい勢いで入り込んできたのですから。
何なのこれ???
私がアジア人で文句言わないから存在無視ですか???(実際、文句は言えませんでしたが。。。苦笑)
でもね、これ、ドイツ人にはごくごく普通の行動なのですよ。
実際に差別的な言動をする人もいるのは現実です。
が、経験不足や無知故に「差別だ!!」と過剰反応していたことも結構あったんだなー、いや、今もあるのかもしれませんね。