ドイツの森の散歩道 2020〜

ドイツ生活はや10年以上。これまでのブログはexcite blog「ドイツの森の散歩道」

日本の高校生活に憧れる息子。ドイツの高校生はどこで「青春」するのか

コロナ禍で頓挫してしまいましたが、今年初め、息子くん、日本の高校に留学したいと色々と調べていました。

 

理由は…

「ボーズ頭」で「ブカツ」がしたい!

「先輩」や「部活仲間」とワイワイしてみたい!

「詰襟の制服」で学校生活をしてみたい!

「文化祭」で盛り上がってみたい!

 

ええ、多分に日本のアニメの影響です笑

特に、「ハイキュー!!」(排球)という、高校生男子のバレーボールのアニメにハマっていたみたい。ちょっと一緒に見たら、昔のド根性スパルタ式部活でなく、男子がわちゃわちゃと本当に楽しそう。なるほど、これならやってみたいと思うかも。

 

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正直、私は坊主頭やら体育会系やら制服やらといったいわば「軍隊式全体主義」がダイキライ。

私の高校選択の基準は「制服なし、ナンセンスな校則なし」。実際、私服通学でバイクもアルバイトも男女交際も自由な高校に進みました。

 

ですので、息子が「ボーズ頭」に憧れるなんて、なんてこと!とは思いましたが、楽しそうなアニメを見て納得。

理由はアニメでも、自分から何かをしたいと能動的にリサーチし、エージェントに連絡を取り、リモートインタビューまでしていたので、応援していました。

「今の日本の高校生は忙しすぎて、アニメの学園生活みたいにはいかないと思うけど…」という懸念はグッと飲み込んで。

 

しかしこの時期、日本側は「受け入れられるか分からない」という学校ばかり。そりゃそうですよね。

それなら大学生になってからかなあ…と呟くと、息子が「でも、僕、高校で行きたい!大学じゃダメなの!」と。

確かに、部活とか文化祭とか体育祭とか、同級生で盛り上がるのって高校までよねえ。

 

ドイツの学校はほぼ「授業を受ける」だけの機能。

部活や学校行事はなくはないけれど、自由参加だったり、全体で盛り上がるとかガンバロー!とかいった感じではありません。

 

その分、学校生活で息が詰まる、という雰囲気は低い。もちろん登校拒否やいじめがなくはないけれど、学校は人生全てではなく、あくまで人生や生活の一部、という認識。勉強が辛ければ留年、学校が合わないと思ったら転校も珍しくなく、今ここで周囲に馴染めなければ人生終わり、みたいな追い詰められ方ではないような気がします。

 

そんなスタンスや選択肢があるのは自由でとてもいいな、と思う反面、私が経験した高校の部活や学校行事アレコレを、息子は経験しないのか、と、少し物足りなくもあります。

…部活帰りにマックやファミレスで延々と何時間もおしゃべりしたこと、 部員全員で交換日誌をつけていたこと、時々仲間割れもあったこと。体育祭の応援団の練習、放課後では足りなくて公園で夜も集まったこと。後輩の女の子が辞める辞めないで揉めた事。優勝して胴上げしてもらったこと。文化祭の劇のために夏休みも教室に集まったこと。文化祭前日、公演するブラスバンドの練習が聞こえて浮き立った空気の中、教室の飾り付けをしたこと。クラスで静かだった男子が、バンドのドラマーでめちゃめちゃカッコ良かったこと。そんな行事の後は、必ず新しいカップルが誕生してたこと(笑)。

楽しいことだけでなく、友人関係に悩んだこともあったし、当時は決して「キラキラ」の毎日とは思ってなかったけれど、友達と一緒に一見意味のない何かに全力に取り組んだ時間、振り返ればあれが紛れもない「青春」でした。

 

けれど、ドイツの子達って、どこで「青春」するんだろう?

学校は授業だけでさくっと帰る。ダベるのは森や公園(若い子が時間を潰すようなファミレスやコンビニがないので)。スポーツは地域のスポーツチーム。スポーツチームで情熱傾けて忙しくしている子もいるけれど、それはやりたいことを見つけられた、ラッキーな一部の子。

いつの時代でも、どこの国でもティーンは特別な時期で、それぞれの青春の形がある。けれど、息子には私が経験したような「青春」がないなんて、正直、ちょっと寂しいなあ。

息子が日本の学園アニメを見て、アツい友情やチームワーク、連帯感に憧れる気持ち、分からなくはないわね…